第25回「木造住宅と火事」

皆様いかがお過ごしですか?

蒸し暑い季節が続き、熱中症や体調管理が気になる時期になりました。

この季節は特に火災に注意が必要です。
今回は、火事と木造住宅について考えてみたいと思います。

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お客様とお話をしていると、住宅のイメージとして
「木造住宅」と「鉄骨住宅」が強いことが分かりました。
木造住宅は「火事に弱い」「燃えやすい」というイメージを持たれがちで、
逆に鉄骨住宅は火事の際も安全と考えている人が多いようです。

しかし、実際には木造住宅も火事に対して強い特性を持っています。

「木造住宅は燃えやすい」というイメージは根強いものですが、
木造住宅には、火事が起きたときに、燃えて崩れるまでの時間が
かなり長いという特性があります。
同じサイズの木と鉄を比較すると、鉄は高温になるとすぐに強度を失い、
わずか5分後には強度が半分以下になります。
さらに10分後には強度が20%程度にまで低下し、構造が崩れる恐れがあります。

しかし、木は10分間燃やし続けても表面が炭化するのみで、
内側までは燃えずに80%程度の高い強度をキープします。
燃えた木の表面が炭化するとそれがバリアのような役目を果たし、
内側の部分に炎によるダメージが到達しにくくなるためです。

この性質のおかげで木は燃えても「一気に強度が下がる」ということがないため、
万が一の火事のときでも、避難のための十分な時間を確保できます。
崩れ落ちる前に消火ができれば被害も最小限におさえることができます。

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さらに、木造住宅は有毒ガスの発生量が比較的少ないです。
火災時に発生する有毒ガスによる意識喪失は多くの事故原因となりますが、
木造住宅は自然素材であるため、火災時の有毒ガスの発生を抑えられます。
もちろん木が燃えることで一酸化炭素や二酸化炭素は発生しますが、
人工素材に比べると有毒ガスの発生量は少なく、意識喪失を防ぎやすいです。

ただし、注意しておきたいのが、木造住宅がいくら火事に
強いといっても、木材が炭化するほどの火事が起きてしまったら、
そのあと住み続けるのは難しいということです。
木造住宅のメリットはあくまで、火事が起きてから
家の耐久性が落ちて崩れ落ちるまでの時間が長く、十分な避難時間を稼げるという点です。

これから家を建てる方は、火事に強い準耐火建築物として設計建築するのがおすすめします。
また、火事に強い家を建てることに加え、火の取り扱いに十分注意することも大切です。

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最近では火を使わないIH調理器具やオール電化の家も人気です。
また、家を建てる際に地域の人とコミュニケーションを取ることも、
もらい火や放火といったトラブルを防ぐことにつながります。

木造の家は、火事の際にも十分な強度を保ってくれるという大きなメリットがあります。
万が一の火事に備えて、木造住宅を建てるということを私たちはご提案しています。


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